発達障害の子育てから学んだこと
今は発達障害に関して、社会でも知られてきて、情報もいろいろと入って来ています。
私の息子はただいま24歳、子育てしていた時にさかのぼると、20年前になります。
その頃は、ほとんど知られていなかったため、他の子と違う事に戸惑いながら子育てしていました。
私が実際に置かれた状況の中で、学んだ事、経験した事、少しでも参考になれば良いなと思います。
学習障害の息子の育て方
幼少期は周りに合わせられない子供だった
息子は産まれて2ヵ月で保育園に入りました。
1月早生まれで、4月に産まれた子と比べると、幼児と赤ちゃんほどの差でした。
そんな息子だったので、ずっとかわいいかわいいで済んでいて、ちょっとやんちゃなところがあったり、1人行動を平気でしていても、まだ幼いからね~という感じで深く考えもしませんでした。
ちょっと困ったな?と思い始めたのは、体操の授業が始まる年中さんの時ぐらいからでした。
周りと同じ行動がどうしてもできず、嫌がって参加する事ができなかったのです。
運動会は毎年あって、小さいうちは親と一緒の競技だったので気づきませんでした。
年中さんの時にパラバルーンという大きな丸い布の端を、みんなで持って手を上げ下げして中に空気を入れ、気球のバルーンのようにふくらませたり、縮ませたりする競技がありました。
練習時の事は先生からあまり聞かされていなかったので、まったく知らずに運動会を迎え、いざ競技が始まると、みんなが列に並んでいるのに、息子だけ並ばないのです。
驚いた私は、なだめたり怒ったり、いろいろ声がけをしたのですが、言うことをまったく聞いてくれません。
私も列に一緒に並び、手をつなぎ、一緒にいてあげると言っても
「やだやだ!」
騒いで逃げようとするのです。
後ろに並んでいたおませな女の子に
すごいめいわく~!」
そう言われ、私はひたすら謝るばかりでした。
その後あまりに私がしつこく言ったせいか、息子は急に走り出し、近くの芝生に逃げて行きました。
あわてて後を追いかけ、競技が始まる前なので焦っていた事もあって、いくら言い聞かせても泣いて騒いで暴れる息子を厳しく怒ってしまいました。
ほとんどもみ合い状態です。
近くで見ていた先生が
「お母さん、いいですよ。
そんなに無理やりやらせなくても~」
そう止めに入るほどでした。
その時はさすがに、どうしてみんなと一緒にできないの?
しかも息子も身体を張って嫌がっていました。
その頑なさにまず驚きましたね。
その翌年は組体操で、その時も参加できませんでした。
このまま小学校に上がったら・・・?と思うと私の方が心配でした。
先の事など知りもしない息子は、自分の心配なんてするはずもありませんしね。
学習障害かもしれない・・・小学校低学年
小学校に入学し、息子は元気に通学するようになりました。
お姉ちゃんが一緒だという事もあり、もちろん何の不安も感じてません。
私は、息子がどのように学校に迷惑をかけるかわからないし、自分の目で少しでも学校での様子を知っておきたくて、PTAのクラス役員を引き受けました。
お姉ちゃんの時も、同じようにして学校に行く機会を増やしたり、先生とお話ししたり、周りのお友達にもママ友にも気軽に話しかけて仲良くなり、情報を入りやすくして、非常に役に立った事もありました。
やはり息子は、勉強にはほとんど関心はなく、授業中も遊びの延長として考えていたと思います。
授業が始まると、世話好きの女の子がいつも教科書から筆箱まで机に出してくれたり、面倒を見てくれたようです。
文字を覚えるのがこの時すでに困難だったのだと思います。
教科書もどの科目にどの教科書を出すのか、よくわかっていなかったようです。
3年生ぐらいの時に
「お母さん、図工の教科書ってどれ?」
と聞かれた時は、私も驚きました。
そんなある日、単身赴任していた夫から電話がありました。
「昨日、テレビのドキュメンタリーで、学習障害について取り上げていて、それを見ていたんだけど・・・。
〇〇は学習障害なんじゃないかな?
どうしてかと言うと、実は俺がそうだったんだよね?
授業中、席に座ってるのが苦痛で。でも先生と親が怖かったから我慢していたんだけど、もう身体が震えてきちゃって・・・。
それを我慢してたから、チックになっちゃったんだと思うんだ」
夫は、身体が意識に反して動いてしまうチック(トゥレット症候群)を患っていました。
「あまり我慢させたら、俺みたいになっちゃうから、あいつにあまり無理やり勉強させないでくれる?」
なるほど・・・と思いました。
それが学習障害を意識するきっかけになりました。
発達障害、学習障害と
難しいかもしれませんが、まず発達障害の定義、行きましょうか?
文部科学省では、いかの通りに定められています。
発達障害とは、発達障害者支援法には「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。
発達障害をわかりやすく図式に表すと、以下のようになります。
そして、いくつかの障害を合併している人もいるようで、かなり複雑な事がわかりますね。
発達障害
以上の3つに大きく分けられます。
その中で、上の図のように細かく分ける事ができます。
ひとまず、PDD、LD、ADHDの特徴を書き出してみます。
広汎性発達障害(PDD)
1990年代には、広汎性発達障害という大きなグループの中に、自閉症、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害などが含まれるとされていました。
それが2013年には自閉症スペクトラムという大きなくくりにまとまったようです。
つまり、広汎性発達障害と自閉症スペクトラムは、現在では混在していて診断する医師によって違う呼び方をされたりしているようです。
大きな特徴として、3つあげられます。
- 対人関係の障害・・・友達づきあいが苦手、他人と興味を共有できない
- 言葉などのコミュニケーションの障害・・・言葉が覚えられない、会話が続かない
- こだわりや想像力の障害・・・感覚に過敏、鈍感な反応
学習障害(LD)
得意不得意なものの差に大きく偏りがあります。
やはり大きく3つに分けられます。
- 読字障害・・・読みの困難
- 書字表出障害・・・書きの困難
- 算数障害・・・算数、推論の困難
見た目では分かりにくいため、がんばればできる、努力が足りない、勉強不足と言われて片付けられてしまう場合が多いです。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)
自分をコントロールする力が弱く、それが行動に現れてしまう障害です。
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不注意・・・集中力が続かない、気が散りやすい、忘れっぽい
-
多動性・・・じっとしている事が苦手
-
衝動性・・・考える前に行動してしまう
まとめ
以上のように、発達障害は先天的なもので、努力して改善されるものではありません。
ですから、本人にとって理解者が周りにいないというのは大変辛いものがあります。
本人も知らなかったり、親御さんが認めなかったり、そうゆう人たちがまだまだたくさんいます。
でも、必要なのは理解とフォローなんです。
それによって、今後歩んで行く人生が大きく変わります。
身近にそんな家族がいた経験を生かして、これから情報を発信していく事で1人でも多くの人を救えたらいいなと思います。
また機会がありましたら、私の経験談を綴って行きたいと思いますので、どうぞお楽しみに。